最近読んだ本から 
(お薦めする本を取り上げています)


「いま私たちが考えるべきこと」    橋本 治著  新潮文庫  438円

「私たちとは私+他人」である。“私”と“私たち”を巡るややこしい問題を、行けども行けども行き着かない「メビウスの輪的
ぐるぐる状況(本人の言葉)」をたどりながら考える本。社会とは、国家とは、民主主義とは、個性とはと話はあちこち迷路
に入りながら、やがてまた自分と他人を考えることに。

「昭和時代回想」    関川夏央著    集英社文庫   476円+税   
 発展途上国の日本に生まれ、中進国に育ち、先進国に生きてきた我々団塊世代(イヤだけどこの括られ方は)が
迎えたいまの日本は明らかに衰退期に。昭和時代とは何だったのか、「忘れたい記憶、忘れ得ぬ風景」を見つめた
エッセイ集。


「優しい経済学」−ゼロ成長を豊かに生きる 
                    
高橋伸彰著  ちくま新書   680円
 
様々な格差が社会の底辺を覆い尽くしつつある今、本当に意味での豊かな社会とはどういうものかを改めて
見つめ直す上でぜひ読んでください。競争ではなく協力の発想で今の閉塞感を打ち破ろう、と判りやすい言葉で説かれた
経済学の本です。「易しい」ではなく「優しい」です。


「日本の行く道」     橋本 治著   集英社新書 740円
 
『「子供の問題」で「オトナも問題」を考えてみる』『いじめっ子はどこに消える?』『産業革命前に戻せばいい』
『機械は人を疎外し、豊かさもまた人を疎外する』など刺激的なテーマでこれからの日本を考える面白い本。
まず超高層ビルを壊すことから始めよう、なんてまさに我が意を得たりです。まずは都心から超高層ビルをなくすこと
から始めよう、なんてちょっと考えてみるだけでワクワクするではないですか。
「優しい経済学」ともに、先にご紹介した
「昭和三十年代主義」に関連して読んだのですが、1964年東京オリンピックが
日本の分岐点だったという点、そしてまだ日本は選択をし直せる、ということに共感を覚えます。

「ジャンピング・マウス」  ヘェメヨースツ・ストーム他 述・著 北山耕平 解題と再話
                                          太田出版(多分絶版/古書で買いました)


 
ネイティブ・アメリカンに残されていた物語です。本の帯には、「本当の自分を知る為に旅に出た、一匹のネズミの冒険」
とかかれています。暫く前に自分探しという言葉が流行した時期がありましたがそれはさておき、これは自己の成長の物語と
言って良いかと思います。心の成長をネズミの冒険という形を取って語られています。
地をちょこちょこと走り回るだけだった子ネズミが、あることからジャンプしてみた。そこで目にしたものがネズミの生き方を
大きく変えてしまう。とても象徴的な出会いを重ねながら、ついには小さな心が大空を翔る大きな心に再生する。
いつもながらネイティブ・アメリカンの話は心に響きます。

 ▼
「昭和三十年代主義」  もう成長しない日本 
                          浅羽通明著  幻冬舎 1600円+税
 高度経済成長に邁進したあげく行き着くところまで行き着いた日本。もう成長しない日本であって良い。
そんな思いを抱く人も多いのでは。私ももちろんそう思う一人。では何処に向かえばよいのだろう。
そんなことを考えているときに出会った一冊です。「ALWAYS 三丁目の夕日」「クレヨンしんちゃん・オトナ帝国の逆襲」
「「明日があるさTHE MOVIE」などの映画や、経済学を中心にした本から、昭和30年代ブームを通じて描く未来像。
いろいろな問題定義があり面白い本です。



 「ナゲキバト」  ラリー・バークダル  片岡しのぶ訳
                   あすなろ書房  1300円

   両親と死に別れ祖父に引き取られた少年。二人で暮らした日々の思い出。
    「生きる」と言うことは何と大変で、そして何と素晴らしいことか。 
    人間への、人生への希望が静かに膨らんできます。



   
 「アメリカにいる、きみ」  C.N.アディーチェ  くぼたのぞみ訳 
                              河出書房新社 1800円 

   お互いに他国の事って知らないもの、ましてやアフリカの国のことともなれば尚更だ。
    ビアフラ戦争については新聞で読んだけれど、私は何も知らなかったと言ってよい。
    この本はナイジェリアからアメリカに渡った、30才を過ぎたばかりの女性作家の短編集。
    ナイジェリアの過去と今、そしてアメリカに暮らすアフリカ出身の人たちの現状。
    登場人物たちの微妙な心の綾を見事に描いている。
    哀しみ、喜びが胸に迫り一気に読ませます。絶対にお勧めです。



  「歩く」 ルイス・サッカー 金原瑞人+西田登訳
                        講談社 1600円(税別)

    面白い!!  私の大好きな作家日本で出版された3作目。
    一作目の「穴」、二作目の「道」、そしてこの「歩く」とシリーズになっている。
    二作目は今ひとつだったが、一作目の「穴」、この三作は読み始めたら一気に引き込まれます。
    原題は「SMALL STEPS」。 心がじわっと温かくなりました




  ▼「生物と無生物のあいだ」  福岡伸一  
                         講談社現代新書  740円 

   「生命とは何か?」を探るミステリー小説のような醍醐味。
    科学書と言うと専門用語が飛び交う取っつきにくい本と思いますがこれは違う。
    その文章の見事さ、詩的な感性に魅了された。 これは是非読んで下さい。

■お勧めBOOKs  
     (それぞれ、だいぶ前に買った本なので値段が変わっていたり、絶版になっているかも知れません

  ▼「日没国物語」
  原 秀雄著  新宿書房 3090円(上・下刊組で)
   著者のただ一冊著したユートピア小説。第二次世界大戦の後、連合国は敗戦国日本の東北地方四県を分離し、
   文明と進歩、民主主義、人類の生存の仕方などの偉大な実験の為と称して、50年間、日本の他地域を初め世界各国
   から完全に分離し閉鎖してしまう。地球上の真空地帯に閉じこめられた人々はどのような社会を作り上げたか、
   ユニークな発想で今まさに日本が置かれている状況を予期して、四半世紀前に警鐘として書かれた本です。
   まさにユートピア、そんなことあり得ないよと言ってしまえばそれまで、でも読むと無性に憧れる世界がそこにある。
  

  ▼「潜水服は蝶の夢を見る」 ジャン=ドミニック・ボビー   河野万里子訳
           講談社 1600円(税別)

   最近映画化され評判になっている原作。難病に冒されて全ての身体的な自由を奪われた『ELLE』
   編集長が、唯一残された意思伝達の手段、左目の”瞬き”だけで綴られた手記。
   映画はまだ見ていませんが、この原作を是非お薦めします。

 ▼「エヴァが目ざめるとき」 ピーター・ディッキンソン 唐沢則幸訳
     徳間書店 1500円(税込み) 
  野生動物の殆どが絶滅した近未来。品詞の事故にあった13才の少女が200日を越える昏睡から目ざめた時、
  少女が鏡の中に見たものは・・・?  思わず引き込まれる異色のSFです。
  切なくて、そして心に温かな余韻が残る作品です。



●アメリカインディアンの本達


  
▼「リトル・トリー」 フォレスト・カーター  和田穹男訳
         
めるくまーる  1854円     

  祖母が言った。「おまえはとっても正しいことをしたんだよ。なにかいいものを見つけたとき、
  まずしなくちゃならないのはね、それを誰でもいいから、出会った人に分けてあげて、一緒に喜ぶことなの。
  そうすれば、いいものは何処までも広がっていく。それが正しい行いってものなんだ。」
  インディアンの血を引く作者が祖父母と過ごした生活を元に綴った自伝的な小説。
  久し振りに読み返し、電車の中で思わず目頭が熱くなり困った。 
  心にじわーっと染みいる話が沢山ちりばめられています。とにかくお勧めです。
 

  
▼「今日は死ぬのにもってこいの日」ナンシー・ウッド 金関寿夫訳
     めるくまーる  1751円
  
宇宙の流れの中で、自分の位置を知っている者は、死を少しも恐れない。
   ネイティブ・アメリカンの古老が語る大地に根ざした死生観は静かに心に広がります。
   
 ▼「一万年の旅路」 
ポーラ・アンダーウッド 星川 淳訳
         翔泳社 2500円+税       

  ネイティブ・アメリカンの人々は、その昔ベーリング海峡が陸続きだったころに、アジア大陸から
  アメリカ大陸に渡ってきたモンゴロイドの子孫だと言う説がある。 この本はイロコイ族に語り継がれた
  口承史である。 ここに記された「一万年の旅路」が史実であろうとなかろうと私にはどうでも良い。
  我々の命が原初のころより脈々と受け継がれてきたのだということを改めて心に刻むことだ。
    生きる知恵、人として為すべき事柄、勇気などなど、
         ここに語り継がれてきた言葉には宝がいっぱい詰まっている。 


●がらり変わって昭和史
 
 私は昭和史を学んでこなかった。中・高の日本史の授業は明治維新から後はいつも駆けっこで走り抜け
  てしまい、一番身近な昭和の歴史をきっちり学ぶ機会がないままに大人になった。 
  私の父は戦場で深い傷を負い、仕事に付くこともままならない身体になり、その父と、私と妹を養うために
  苦労し通しだった母。 あの戦争は何故起きたのか、そんなことも知らないままに来た自分が恥ずかしく、
  最近になって漸く昭和史を学び初めた。
  戦争に走ってしまった人間の愚かさと弱さ、それは自分もそうなりうると言う思いも含めて改めて
  しかっりと見つめていかなければいけないことだと思う。
  これから順次私が読んだ本をご紹介します。まずはこの三冊を。

 ▼「昭和史」「昭和史
戦後編」 
半藤一利著 
       平凡社  1600円、1800円 
   
  今の日本はどのようにしてつくられたか。とても読みやすい歴史書です。

  ▼「日本の一番長い日」   
半藤一利著
       文春文庫 590円
  
昭和20年8月15日、原爆が落とされた日本が迎えた終戦の一日。この24時間を綿密な取材と証言を
   素に再現したノンフィクションです。  

●今を考える
  昭和史に引き続き、今我々を取り巻く状況を様々な視点から考えてみたいと思って読んだ本を紹介します。
  昨日、宮崎勤が処刑されました。事件から20年、相変わらず、と言うよりもますます人間の心が崩壊している
  ように思います。 物質至上主義、市場経済主義、グローバル化、情報過剰社会、格差社会、政治や経済など
  様々な要因が複雑に絡まって我々の心をむしばんでいる。
  消して他人事ではない、私の心にも同じ芽は芽生えているのかも知れない。
  
 ▼「戦後政治史」  石川真澄著  岩波新書  780円
  ▼「戦後政治の崩壊」  山口二郎著  岩波新書  740円
 ▼「憲法九条」国民投票  
今井 一著  集英社新書  700円
  ▼「プリンシプルのない日本」  白洲次郎著  新潮文庫  476円 
 ▼「社会の喪失」   
市村弘正・杉田 敦著  中公新書 780円
  ▼「下流社会」   三浦 展著 光文社新書 780円
  ▼「反貧困」    湯浅 誠著 岩波新書 740円 
 ▼「マイホームレス・チャイルド」 
三浦 展著  文春文庫 619円
 ▼「何故日本人は劣化したか」  
香山リカ著 講談社現代新書 700円
 ▼「信じぬ者は救われる」
  
香山リカ×菊池 誠著 かもがわ出版 1400円
 ▼「M/世界の、憂鬱な先端」  
吉岡 忍著 文春文庫  819円  (宮崎 勤事件を中心に)
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