今、こういう時だからこそご紹介したい一冊

「キアロスクーロ」
織江耕太郎著 水声社刊 定価2800円+税  水声社 tel/03-3818-6040

福島の原発事故から三年半、爆発に至った原因は未だ明らかにされず、未だに収束へのめどすら立たない。そもそもこの国に原発は必要だったのか。
何故この地震が多発する小さな島国日本にこれほど沢山の原発が出来てしまったのか?何故限られた地域に集中しているのか?
原発が誘致された地域にはどういう思惑があり、経緯をたどって稼働されるに至ったのだろうか?安全神話はどのように作り上げられていったのだろうか?原発を作ることで誰が利を得たのだろうか?
これほどの被害があり、原発の収束に多くの労力と費用が掛かり、被災された方々への保証もとても十分とは言えないのに莫大な金額になっている。
それでも再稼働させたいという裏には、やはり我々には見えない裏の社会で利する人間がいるからだろう。
さてここにご紹介する写真の本は、織江耕太郎氏の「キアロスクーロ」。
限りなくリアルなフィクションドラマです。原発の誘致の裏を電力会社、政治家、経済界、そして誘致する側の思惑の渦巻く裏社会を、丹念な調査から解き明かしていく。原発にそれぞれの立場で関わりを持つ魅力的な登場人物たち、彼らが紡ぎ出すドラマの意外な設定と進行で、一気に読み通させてくれました。特に後半、私はドラマの世界にのめり込んでいました。
社会派のドラマとして、またサスペンスとしても面白く読ませて頂きました。
皆さん、お薦めします。どうぞ読んでください。

実はもう数ヶ月前に読み終えていて、皆さんに紹介したいと思いながら今日に至ってしまいました。
今、川内原発の再稼働が現実となってきました。一方で最初に書いたように福島での収束作業は思うように進まないばかりか、今朝の新聞には単純ミスで大事には至らずに済んだものの、一歩間違えれば大事故に繋がりかねない電気ケーブルの切断があったとか。自分の家の庭先に積み上げられた汚染土や草が詰め込まれた袋は劣化し破れて、中間貯蔵場も決まらない現状に、線量が下がらないまま放置せざるをえない状況です。
織江さんのこのドラマはあの3月11日の午後で終わります。
が、現実のドラマは今も、そしてこれから先何年、何十年と続いていくのです。
私は3月11日から未来を描いた続編が書かれることを期待しています。


「日本の戦争を終わらせた人々」軍人たちの戦争と平和

中 一夫著  ほのぼの出版/仮説社発売 1500円

この国の一部の者たちが無謀な侵略戦争を仕掛け、挙げ句の果てには一億玉砕などと叫び、この国を滅亡の危機にまでさらしたことは誰しもが知っているでしょう。
もっとも侵略戦争ではなく、あれはアジアの諸国を大国の植民地支配から救うための戦いだったと言う方々もいますが。

いずれにしても最後は敗戦に次ぐ敗戦、ついには沖縄に上陸され悲惨な地上戦で多くの犠牲を出し、本土空爆で大都市は軒並み焦土と化した。そして広島・長崎に落とされた原爆により一瞬にし...て多数の一般市民が命を失った。何十万という同胞の死、そして決して忘れてはいけないのは、やはり奪ってしまった何十万という日本の侵略戦争に巻き込まれた周辺諸国の人々の命。
当時、独走する一部の軍部はこの国を滅亡させることもいとわなかった。
その一部軍部(陸軍)が受け入れを拒み続けたあのポツダム宣言を、もしあの時点で受け入れなかったら・・・今この国はどうなっていた事だろうか。
受け入れに至る数ヶ月のドラマ、時の首相・鈴木貫太郎の決断、彼を支えた指導者たちのそれぞれの立場から来る苦悩と深慮、天皇の決断。
そして無条件降伏による終戦を受け入れる数日に、どのような手に汗を握る攻防があったのか。恐らく私たちは学校では全く教えられてこなかったと思います。
日本を破滅から救った人々の物語が、とても読みやすく描かれています。
いままたあの暗黒の時代に逆戻りをさせようと言う動きが大きくなっています。
何故あのような時代を招いたのか、それは勿論軍部の独走のなせるところですが、それを許し、またその暴走に喝采さえ送った一般市民が招いたのだとも言えます。
きちんと軍部の暴挙、妄言を糾すことが出来なかった一般市民の責任が大きいのではないでしょうか。今も同じです。このまま何が正しくて、何処が誤っているかを、自分の頭で考え判断せず、強引な流れに身を任せていると同じ過ちを繰り返すことになるのです。
この本はそのことを繰り返し教えてくれます。
この本の著者は、中二の私の娘の担任である中 一夫氏が著しました。でも先生の専門は理科なのです。専門外の歴史ですが、理科の先生らしい〈合理的な精神〉と〈科学―真実を見つける手段―〉により、易しい言葉と読みやすい文章で書かれています。この一冊も一気に読み終えました。
恥ずかしながら、私は鈴木貫太郎首相については終戦時の首相でポツダム宣言に署名した人であるくらいの認識しかありませんでした。また支えた阿南陸相を初めとする当時の閣僚たちのことも、名前を知っている程度でした。あの終戦を迎える前後の数日にどのような事件があったかは読んで知っていました。でも、そのときに彼ら指導者たちがどのような思いを胸に抱いて、この国の危機を救ったかについては、この本を通じて改めて知ったことが多くあります。
また本書にはシンガポールやオーストラリアで日本軍がどのようなことをしたかも、別の項にして書かれています。
中学生以上なら是非読んで貰いたい本です。勿論親たちも、私のような戦後生まれの年寄りにも。
一般書店にはおいていないと思いますが、注文して取り寄せる事が出来るそうです。また出版社に直接注文して買い求めることも出来ます。
tel/03-3204-1779 URE =http://www.kasetu.com/






最近読んだ本から 
◇「本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること」
  
            須田慎太郎/写真 矢部宏治/文 前泊博盛/監修  書籍情報社
下にある孫崎さんの本と共に、戦後の日本がどのようにアメリカの戦略に組み込まれていったかが良く理解できます。
許し難い沖縄の現状、事ある毎に自国の都合の良いように圧力を掛けてくるアメリカ、今後の日本がとる道が見えてきます。
我々はどう行動すべきかが、私に中でだいぶはっきりとした形になってきました。
まだお読みでない方、是非読んで下さい。大袈裟ではなく日本人必読の一冊としてお薦めします。

◇「戦後史の正体」 
孫崎 享著 創元社
このところの社会の動きを見ながら感じていたことが鮮明に見えてきました。
高校生向けに、と書かれた本ですが
私のように戦後史に疎いまま来てしまったものにはとても読みやすく書かれていて、これからの自分の取るべき方向性を
示唆してもらいました。
如何にこの国はアメリカの都合に合わせて操作されてきたか。
原発、沖縄、オスプレイ、TPP、経済格差、市場原理、弱肉強食の社会構造…などなど、いま日本が抱えている問題の
根っこがどこにあるかが見えてきます。今話題に一冊ですが、まだ読まれていない方、是非お薦めします。

◇「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」 
加藤陽子著 朝日出版社
日清戦争から太平洋戦争(第二次世界大戦)に至る経緯を、中・高校生達への五日間の講義から採録したもの。
一方的に解き明かすのではなく、学生達に考えさせ、学生達の答えからまた解きほぐし、とても解りやすく歴史が読める。
明治維新後、近代化を急ぐ日本が辿った戦争への道をどう捉えるか、未だ歴史としては様々な見方が交錯する問題だが、
いずれにしても結論を出すには未だ早い問題に一方的な結論を示さず、読み解いてく鍵を幾つも手渡された一冊だった。
歴史を読み解く時に大切なことは、先入観や他人が下した評価に囚われない事だと改めて感じる。
もう一度といわず何回も読み直したい本である。

◇「一流選手の動きはなぜ美しいのか」 
小田伸午著 角川選書 
昨年来、自分の身体を見つめ直す作業を続けてきた。思ってもいなかった身体の不思議に気づく毎日で、日々発見の連続なのだが、
いかんせん一介のマイム役者では科学的な裏付けがない。現実に見る間に変わっていく自分の身体を前に、どうしてこうなるのか
と一般の方に説明できる根拠がなかった。そんなときに出会ったのがこの本。
スポーツを通して人間の身体を科学する著者の研究成果は、私が気付いてきたことを見事に裏付けてくれた。
「力を抜くことで身体能力をアップさせる」。これは私がレッスンの中心に置いていることにピタリと重なる。
身体に興味のある方に一読をお勧めします。


◇「「特攻」と日本人」 
保阪正康 講談社現代新書
あの戦争が終わってから既に70年近くになろうとしている。戦後生まれの私は勿論直接の戦争体験はなく、戦争を直接体験
した人達は今後一気に少なくなっていくだろう。今の若者達が「日本が戦争をした」と言われても実感のない遠い話に思ったと
しても仕方がない歳月が過ぎているのだ。だからといって100年足らず前のあの状況について、若者達も関係ないことだと
済まさせてはならない。その同じ若者達が否応もなく死を強要されたのがあの戦争だったのだから。
「特攻」で散った若者達の犠牲の上で今の世がある、なんて言って彼らの死を美化してしまわれることは彼らの本意ではないだろうし、
一方で「いやあれは犬死にだった」などと言って彼らの死を否定してしまったら、失われた命の重さに応えることが出来ない。
「特攻」とは一体何だったのか、若者達はどのように逃れられない自分の死と向き合い、心に折り合いを付けて死地に向かったのか、
改めて問い直した一冊です。
そのような若者達に「自分たちも後からついていく」と言って送り出しながら、結局自らは安全なところに残り続けた多くの指揮官達。
彼らの殆どは戦後になって「彼らは自ら望んでいったのだ」と責任放棄をして自らの過ちをほおかむりをし、のうのうと生き延びたのだ。
 本当に変わらないのですよ、今もこの国の責任放棄の構造は。原発で命がけで働いている人達もそのうち「彼らは自ら望んで行ったのだ」
なんて言って責任放棄をされるのではないだろうか。若い人達に是非読んで貰いたい…。  2012/4月18日(水)

◇「七つの夜」 
J.L.ボルヘス  岩波文庫
この書は著者が77歳の時に7夜にわたって行った7つの講演のテクストを、後日校閲し他の地出版したもの。
遺伝でもあったようで、自身の言葉に依れば「目が見える時から始まったゆるやかな黄昏」は死に至るまで延々と
続き、晩年は片眼は全盲、もう片方も未だ幾つの色が解る程の部分的な盲目であったそうだ。
さぞ大きなハンディキャップであろうに、彼は「盲目は神の賜物」だという。
 
 「作家あるいは人は誰でも、自分の身に起きることはすべて道具であると思わなければなりません。あらゆるものは
すべて目的があって与えられているのです。この意識は芸術家の場合より強くなければならない。彼に起きることの一切は、
屈辱や恥ずかしさ、不運を含め、すべて粘土や自分の芸術の材料として与えられたのです。それを利用しなければなりません。
それらが与えられたのは、私達に変質させるためであり、人生の悲惨な状況から永遠のもの、もしくはそうありたいと願っている
物を作らせるためなのです。」 ―収録された「盲目について」より抜粋―

◇「悪魔の涎・追い求める男」 
コルタサル短編集 岩波文庫 
私の好きな映画作家のひとり、ミケランジェロ・アントニオー二はこの作者の『悪魔の涎』に触発されて『欲望』を制作した
のだそうだ。短編とは「人生の断片」であるとも「人生の瞬間」であるとも言われる。
限られたスペースの中でストーリーを展開させる短編は優れた写真に似ているとコルタサルは次のように言う。
 
 「写真家、或いは短編作家は、意味深いイメージなり出来事を選び出すと、それだけを写すか、語ることになる。
その場合、イメージ、或いは出来事はそれ自体価値のあるものであり、しかも写真なり短編の中で映像、もしくは言葉に
よって語られている挿話を遙かに超えたところに存在するものへと、見る人、読む人の知性を向かわせる一種の導入口、
刺激剤といての役割を果たしうるようなものでなければならない」

写真、或いは短編をマイムという言葉に置き換える。コルタサルの言葉は私のマイムに対する思いと見事に重なる。

◇「福島原発で今起きている本当のこと」 
淺川 凌  宝島社
元・原発技術者・淺川氏が「原発の真実」を語る。氏自身も「原発安全神話」に洗脳されていたと述懐しながら、
電力会社を中心とした原発村の信じられない杜撰な体質、対応を告発。
まだ危機は去っていない、彼らにとって不都合な真実は何も明らかにされていない。


▼「原発はいらない」 
小出裕章 幻冬舎ルネッサンス新書
 大切なのは「電力」、それとも愛する人達の「命」? 何故原発は全廃しなければいけないか、40年来、原発の廃絶を
訴え続けてきた小出さんの答えがこの一冊に。 これは是非とも読んで下さい!それでも原発は必要ですか? 


▼「原発を終わらせる」 
石橋克彦編 岩波新書
原発の危険性を訴えてきた14人の専門家達が、それぞれの立場から事故を検証し問題点を検証。
「脱原発」に向けての具体的な道筋を探る。


▼「官僚の責任」  
古賀茂明 PHP新書
「霞ヶ関は人材の墓場だ」 国立大を優秀な成績で卒業した官僚達が何故堕落するか、また政治家は有能な官僚達を
使いこなすことが出来ないのか。発送電分離など改革をを提議して閑職に追いやられ、先日辞職した元官僚の告発。

▼「ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ」 
田口ランディ ちくまプリマ-新書
原発の事は宗教、民族、思想どのような対立にも利用してはならない。この問題は、いかに困難があろうとも、
冷静に根気強く対話によってのみ、合意を導き出さなければならない。(本文より) 
唯一の被爆国が何故原発大国になったのか、田口ランディさんが12年間考えてきた中で伝えたいこと。
原発とじっくり向き合っていこうと思う方に是非読んでで頂きたい。  
 


▼『三酔人経綸問答』   
中江兆民 岩波文庫
加藤周一の「日本文学史序説」は刺激的でした。先人の書を初めて手に取りました。
平和、自由、防衛、進歩と保守など今尚共有する問題について、すでに明治の思想家は鋭い目で喝破していた。
理想と現実の中で民主主義の可能性を三人の酔人の問答という形で追求している。
 

▼『ウイキリークス以後の日本』  
上杉 隆 光文社新書
先日朝日新聞紙面で明らかにされた日米外交機密文書。暴露することの是非については、これから大いに意見を
戦わせなければなるまいが、名指しされた政治家達の反応が既に真実を伝えてくれる。
公開前に出版された本だが、政府や企業と癒着する大手マスコミによって、いかにして事実が隠されてきたか、
また情報操作をされてきたか。原発で明らかになったように、我々は知らなかったではすまされないのだ。


▼『原発列島を行く』   
鎌田慧  集英社新書
10年前に出版された時に買い求め既に読んでいたのだが、改めて読み直した。原発産業をいかにして推進し、また受け
入れてきたか。主だった産業のない過疎地を標的に、莫大な金の力で建設されていった原発。
いかなる働きかけにも屈せずに拒否続けた人達。福島原発の深刻な災害の実態を前にして、これから我々はどのような道を
選ぶべきかが問われている。

▼『偽善エネルギー』  
武田邦彦 幻冬舎新書
原子力開発に携わった科学者の告発。石炭から石油、そして原子力へと変わってきたエネルギー政策の問題点を、
様々な角度から検証している。枯渇する石油は単にエネルギー源としてのみ利用されている訳ではない。医薬品、農業、漁業、
など様々な分野に影響が及ぶ。石油を始め資源のない日本の将来に備えて、今考えるべきは何か?

▼『社会の真実の見つけ方』  
堤 未果  岩波ジュニア新書
大手メディアが流す情報を鵜呑みにしてはいけない。9.11以降のアメリカがいかに情報操作をし人々を操ってきたか。
知らないと言うことは自分に責任を持たないと言うこと。真実を見極めるためには、みずから情報を見極める力を養っていくこと。

▼『アメリカから自由が消える』  
堤 未果 扶桑社新書
9.11以降、自由の国アメリカは『自由と正義を守るために』という名目の元、人々から自由を次々と奪っている。
突然飛行機に乗れなくなる、いきなり逮捕される、言いたいことがいえない、そして常に監視されている。これが自由の国アメリカの実態。
ブッシュがもたらした管理社会アメリカは、オバマに変わって尚進化し続けている。

▼『もうひとつの核なき世界』
 
 堤 未果  小学館
「日本は被爆の恐ろしさを訴えているが、その一方で政府は原発関連の受注に力を入れている。
核と原子力、核燃料は全く別の次元で考えられているのですか?」我々はこの問いに答えられるか?
核廃絶を訴えノーベル平和賞を受けたオバマ大統領、彼は本気で核の廃絶に取り組もうとしているのだろうか?
劣化ウラン弾を通常兵器という米国の核廃絶とは?
堤未果さんの緊急リポート。是非今読んで頂きたい本です。


「日本文学史序説」上・下  加藤周一 ちくま学芸新書 
兎に角読むのが遅い私です。3ヶ月掛けて読み終わりました。単なる文学史ではない、日本文化・思想史です。
3ヶ月、読んでは考え、考えては読み、かけがえのない貴重な時間でした。心底、凄い本だと思います。


▼「羊の歌」「続 羊の歌」  
加藤周一 岩波新書  760円+税/720円+税
改めて自分の生き方を考えました。
何物にも揺るがない信念、戦争否定の論理は実に明快です。

▼「20世紀の自画像」  
加藤周一  ちくま新書 780円+税
恥ずかしいです、今まで読んでいなかったことが。もっと早くに読むべきでした。
何も書き添えることはありません。


▼「マルコバルドさんの四季」  
イタロ・カルヴィーノ作 関口英子訳 岩波少年文庫 680円+税
素朴でチョッピリとぼけていて、世の流れからちょっと外れた主人公と家族の話。
公害問題や機械文明がもたらす人間疎外、そして偽装問題など、50年前にイタリアで書かれた本なのに、
まるで今の日本が見えてくる大人の寓話。


▼「チポリーノの冒険」 
ジャンニ・ロダーリ作 関口英子訳  岩波少年文庫  800円+税
野菜や果物達が暮らす国。タマネギ坊やの大冒険はとても楽しい寓話ですよ!!
作者の詩から抜粋
「ねえ、空ってみんなのものだよねえ だから教えてほしいんだ どうして空は丸ごとひとつなのに 地上は境界線だらけなの?」 
 

▼「『悪いこと』したらどうなるの?」  
理論社/よりみちパン!セ  藤井誠二著  1200円+税
少年犯罪の加害者、被害者、そしてそれぞれの家族はどうなるのだろうか?
見直しが言われる「少年法」の問題点にも言及した中高生向けに書かれた本。勿論大人にも読んで貰いたい。
 

▼「40歳からの肉体改造 −頑張らないトレーニング」  
有吉与志恵著  筑摩新書 720円+税
今私が取り組んでいる頑張らないトレーニングの有効性を裏付けてくれるような本です。
私はプロの身体表現者にもとても有効だと信じてやっていますが、この本なら年配者でも無理なく身体を整えられます。


▼「O.ヘンリ短編集(一)」  
大久保康雄訳  新潮文庫438円+税
ユーモアと哀愁、意外な結末。ほのぼのとした味わいが心地よい短編小説の名手による16編。


▼「ぼんやりの時間」  
辰濃和男 岩波新書 720円+税
ぼんやりと過ごす時間こそ、自分のなかの生命力、野生、創造的な力を育んでくれる。作者と同じ、私もぼんやりが大好きです。
思えば私のマイムの数々はそんな時間の中から生まれてきました。
「なぜわれわれはこうもせわしく、人生を無駄にしながら生きなくてはならないのだろうか」
これは19世紀のアメリカに生きたH・D・ソローの言葉。今は其れより遙かにせわしい時代ですよね。

▼「予告された殺人の記録」 
G・ガルシア=マルケス 新潮文庫 400円+税
初めて読んだマルケスの短編小説。閉鎖的な田舎町で起きた予告殺人。マルケス自身の家族も関わった実際に起きた
事件を元に、フィクションを交え、過去の出来事として事件の起きた一日推移を克明に描き出していく。
不思議な味わいが残る作品。

▼「悪童日記」  
アゴタ・クリストフ 堀 茂樹訳  epi文庫  660円+税
第二次世界大戦末期から戦後にかけてのハンガリーはナチドイツとソ連の全体主義体制によって翻弄された。
祖母の元に預けられた双子の少年の過酷な日々。人間に醜さ、残酷さ、哀しさ。荒廃した世界をしたたかに生き抜く兄弟。
すごいという形容がふさわしい作品。

▼「サバクでおちゃを」  
フレーベル館(絶版)
  「ぼんさいじいさま」
偕成社  木葉井悦子 作
1995年に若くして亡くなった木葉井さんの作品を二つ。
「サバク・・・」は長い間とらわれている男が家族に会いたくて、サソリと身体を取り替えっこして会いに行く話。
「ぼんさい・・・」はまたぐっと趣の違った絵本です。どちらも優しく温かな人の心があふれてくる良い作品です。
外形に左右されない愛情、最後の時の迎え方、どちらの絵本も読み終えた後に何とも言えない温かな余韻が残ります。
絵本なのであまり中身を言わない方がよいですね。「サバク・・・」は残念ながら絶版で、私は古本で探しました。

「ほつれとむすぼれ」 田口ランディ著  角川文庫  514円+税
生きるための力となるのは,日常の記憶にも残らないようなささやかな出来事。
ふとした他人の温かなひと言であったり、笑顔であったり、道端に咲く小さな花や,そっと頬をなでるて過ぎる風であったり。
他人の何気ない思いやり、ひと言で人は一日の元気を、いや、もしかしたら一生を支えることが出来る力を貰えるのです。


▼「私の身体は頭がいい」
 
内田 樹著  文春文庫  571円+税
最高のパフォーマンスを実現させる身体とは?
不確定な状態、宙ぶらりんな状態にしておく。予測しない身体のあり方が大事。
必要外の力を抜いてふらりと立つ。マイムの基本もここにあるのです。我が意を得たりの一冊でした。


▼「小人たちの新しい家」
  メアリー・ノートン作 猪熊葉子訳 岩波少年文庫 800円+税
ジブリでアニメ化された「アリエッティ」の原作全5巻の最終巻。人知れず床下に住んでいた借り暮らしの小人一家
が、ふとした事から人間にその存在を知られ、安住の地を求めて繰り広げる冒険記。

▼「「待つ」ということ」 鷲田清一著 角川選書 1400円  
待たなくて良い社会を作ることが文明の発展なのだろうか?意のままにならないこと、じっとしているより仕方がないこと、
偶然を待ち、また自分を超えたものに従う心。待てなくなってしまった社会が失ったものは大きい。


▼「日本という国」
   小熊英二著 理論社 1200円+税 
二度の大戦がもたらした国内外の大きな傷、憲法、安保、靖国の事など、これから解決していかなければならない
大切なこを考えるうえで、とても良い指針になります。

▼「縦糸横糸」  
河合隼雄著 新潮文庫 514円+税
やはりこの本で言われていることも、待てずに急いで結論を出そうとしてきた現代社会が抱えた諸問題について
のエッセイです。効率を求めて豊かに、そして快適になったが、そこで欠落していったものは大きい。
時代の流れに対応できなくなってしまった「心」の問題が、いつもながらとても暖かな言葉で解りやすく書かれています。


▼「熊野 神と仏」
    植島啓司+九鬼家隆+田中利典  原書房 2000円
識っているようで識らない神と仏の話。私も熊野とのご縁がなければ知らないままだったでしょう。

▼「談合破り」
  植桑原耕司  WAVE出版   1400円
何によらず公共事業での談合は当たり前、これは何処の自治体でも半ば公然と行われてきたこと。
官民癒着の構造は特に地元の業界関係者に支持されてきたからだ。

▼「対論 部落問題」
   組坂繁之+高山文彦  平凡社新書  720円+税
数年前に同じ被差別民・ジプシーの人たちを描いた「ジプシー・キャラバン」という映画が上映されたそうです。
その映画に出てきた一女性の言葉がすばらしいので最後に。とても深い言葉です・・・
 「世界の人たちは、時には私たちロマ(ジプシーと呼ばれていたロマ族)のことを思い出して欲しい。
  なぜって、私たちが戦争をしたことがある?よその国を侵略したことがある?人の命を奪ったことがありますか?
  私たちがそれをしてこなかったのは、私たちが国を持とうとしなかったからだ」

▼「身分差別社会の真実」 斉藤洋一+大石慎三郎著  講談社現代新書 700円+税
  一体いつ、どのようにして差別は生まれたのか? 誰しもが何らかの形で差別する心を持っている。
被差別社会にも差別はある。つまり認めたくはないけれど、誰しもみな、一人一人が差別する心を持っていることを
認めた上でどうすべきかを考えていかないと、永遠に差別する状況はなくならないだろう。

▼「
まるまれアルマジロ」
  ―卵からはじまる5つの話―
                     安東みきえ著 絵・下和田サチヨ 理論社 1500円
すべて卵から話ははじまる。オケラ、オウムにオオカミ、ハゲタカ、駝鳥とアルマジロ、そうしてコウノトリ。
人生についてほんわかと考えさせてくれました。

▼「カティンの森」  アンジェイ・ムラルチク  工藤幸雄・久山宏一訳  集英社文庫 920円
『真実を知らないこと、それは耐えること。真実を知ること、それは不幸になること』 
真実についての悲しい真実。真実を認めたくない思いと、真実を知ることからしか未来へ目を向けることが出来ないと
いう思いが交錯しながら、ひたすら待ち続けた多くの女たち。

▼「世界一のパン」 〜チェルシーバンズ物語〜
       絵と文/市居みか ルポ/中島敏子 英訳/ハート・ララビー  文屋 1890円〔税込み〕
長野県の小布施で出版や情報の発信などを地道に続けている私の友人・木下 豊さんの出版社・文屋の企画による
とてもとても素敵な物語絵本です。

★ご注文とお問い合わせは: 文 屋
〒381-0204 長野県上高井郡小布施町飯田45
TEL: 026-242-6512 FAX: 026-242-6513
http://www.e-denen.net   E-mail: bunya@e-denen.net



▼「若き友人たちへ ―筑紫哲也ラストメッセージ―」
 
 集英社新書 756円
「考えましょう、もっと幸せになっていいのです」
 情報や時の情緒に流されず、自分の頭で考えることのすばらしさ。
若い人たちには是非読んで欲しいと思います。いや若くない人たちにもです。

▼「子どもは判ってくれない」
 
内田 樹著  文春文庫  629円+税
「分かった」なんて安易に了解しない、「要するに」なんて簡単に事を片付けたりしない、世の中はそんなに
単純ではないのだ。すべてはっきり断言できるほどに世の中は簡単ではないのだから、分からないことは
分からないと言えるようにしよう。


▼「観世寿夫 世阿弥を読む」 
荻原達子 平凡社ライブラリー1300円 
 「離見の見」「見所同心「花について」「せぬひま」「我が心を我にも隠す安心」「体心捨力」「位」
そして世阿弥の言葉とは知らずに使われている「初心」など。
観世寿夫さんが残した著作の数々は、能楽の本ですが私はマイムの為に残してくれた本と思って読んでいます。
マイム、役者など身体表現を志す人には是非読んで頂きたい一冊です。

「「世界征服」は可能か」
 岡田斗司夫著 筑摩プリマ―新書   760円+税
 「世界征服」を夢見たことはないですか?アニメや漫画の悪役たちのように世界征服をするための、
人材確保、設備投資、管理から後継者の問題まで、その方法論をまじめに検証した一冊です。

「昭和の遺書 -55人の魂の記録―」 (かけはし)久美子著 文春新書 730円+税
 軍人、政治家、文学者、天皇、芸能人など、激動の昭和を生きた人々の遺書でたどった昭和の歴史です。
昭和ほど多くの遺書が書かれた時代はない。本当にそうなのでしょうね。

「街場の教育論」
 内田 樹著  文春文庫 571円+税
 「師曰く」ですよ、大事なのはまさにそこですね。「私はこう思う」と私にこだわってしまうことから「言葉」は力を失って
しまう。「私の師匠はこう言っていたのだよ」、ここで過去から未来へと繋がる言葉が生まれる。

「街場の現代思想」
内田 樹著 ミシマ社 1600円+税
人生相談の体裁で語られるエッセイ集。何から何まで二極化した社会をどう生きるか、はらりと肩の力が抜ける一冊です。

「格差社会と教育改革」
     苅谷剛彦、山口二郎著 岩波ブックレット 480円+税
戦後の日本が採った「教育の平等」を再評価することから、これからどう改革を進めるべきかを語り合った本です。
「教育というのは時間かかるものなのです。」(苅谷)という、至極当たり前の言葉を今一度噛みしめる時だと思います。


「オレ様化する子どもたち」 
    諏訪哲二著 中公新書 740円+税
消費社会は学ぶことからも自分の払う労力への対価を求めるようになった。「市場原理」「競争原理」「格差の問題」など、
教育論としてのみならず、これからの社会に対して示唆に富んだ一冊です。


「下流志向」
   内田 樹著  講談社文庫  524円+税
すぐに答えを求める、時間がかかることをしない、早いことはよいこと、なるべく簡単にできる、考えないで解るのがよい、
などなど、この何十年日本人が追い求めてきたその付けがいま様々な社会問題を引き起こしている。
学ぶと言うことは、もしかしたら自分一代で完結することではなく、親から子へと代々つながっていく、そんな気が遠くなるような
時間がかかることなのです。何十年、何百年、何千年という。

「差別と日本人」   野中広務・辛 淑玉  角川書店 724円+税
 在日朝鮮人として、また部落出身ということで差別され、そしてともに差別と正面から戦い抜いてきた二人の対談に、
私が知っていながら本当に知ろうとしてこなかった日本の現実を知らされた。

「生かされて」  イマキューレ・イリバザキ/スティーブ・アーウィン 堤 江実訳 PHP文庫  781円+税
1994年、ルワンダ。ほんの100日間、たった三ヶ月あまりの間に100万人の同族の人々が虐殺された。
差別が逆差別を生み、つい昨日まで仲良く暮らしていた隣人同士がお互いに相手を憎み合う。
そしてほんの些細なきっかけから、根も葉もない噂が膨らみ憎悪を煽り立てる。
これはルワンダだけではない、つい最近も中国で同じことが・・・。そして今も世界のあちこちで続いている。

「時の旅人』 アリソン・アントリー作   松野正子訳  岩波少年文庫  840円+税
 ファンタジーというとただの絵空事と思っている人も多いようですが、実は心の世界を描いたとても現実の
世界なのです。ファンタジーには、子供達の言葉に説明できない心の世界が描かれていると言えるでしょう。
 
「十五少年漂流記」   ヴェルヌ著   石川 湧訳
名作を今になって初めて読みました。おもしろかった。百年以上も前の作品ですから奴隷制度の名残がまだ残っていたり、
少年たちが銃をとって人を殺すことに何ら痛みを覚えないようなところに、少しの違和感を感じはしますが・・・
  
「お話しを運んだ馬」
  I.B.シンガー作 工藤幸夫訳 岩波少年文庫  640円+税
「きょう、私たちは生きている、しかし明日になったら、今日という日は物語に変わる。世界全体が、人間の生活の
すべてが、ひとつの長い物語なのさ。」物語の人物が語るこれらの言葉は、そのまま作者の言葉であり、私が
マイムに込めたい思いでもあります。私たちは過去を未来に繋ぐ仕事をしているのです。

「武装解除 
-紛争屋が見た世界-」 伊勢崎賢治著 講談社現代新書 740円
 東ティモール、シェラレオネ、そしてアフガンで紛争解決請負人として生きてきた著者の実感から書かれた本。
今こそ憲法9条を活かした活動が出来るとは目から鱗です。

「正しく知る地球温暖化」 
 赤祖父 俊一著 誠文堂新光社刊 1400円+税
 温暖化を訴え、いたずらに危機を煽ることで誰がどの様な利益を得るのか。今の我々にとってもっと緊急に対応しな
いといけない問題があるのでは。世界の貧困問題、エネルギーの確保、食糧の確保など、緊急の課題はこちらにある。
紹介が長くなってしまったけれど、もっと議論を重ねようというそんな問題提議の書です。


「ベーグルチームの作戦」 
E.L.カニグズバーグ作 松永ふみ子訳 岩波少年文庫 640円+税
思春期を迎えた12歳の少年の目を通して、家族や友人達との日常を描いている。
秘密を持つことが如何に成長していく上で大きな役割を持つかが興味深い。

「自衛隊の国際貢献は憲法9条で」
  伊勢崎賢治著 かもがわ出版 1400円+税
 北朝鮮の核実験は新たな緊張をもたらしている。こうなると必ず持ち上がるのが「改憲だ」「核武装するべき」
「自前の軍隊を」などの論議。護憲派も、そして改憲派も一読して欲しい。


「ぼくと<ジョージ>」
 E.L.カニグズバーグ作 松永ふみ子訳 岩波少年文庫 640円+税
 少年の身体の中には、もう一人別の少年が住んでいた。思春期の少年の心の内側を見つめた作品。
その自分自身の中に共存する二つの人格が対話し、また葛藤する中で子どもは成長していく。

「最後の「ああでもなくこうでもなく」」
 そして、時代は続いて行く―
                  橋本 治著 マドラ出版 2310円(税込み)
 校教育、憲法、政治、世相、老人問題などなど、2006年11月から2008年7月までの出来事から「人のあり方」を
とおして時代を読み解く一冊。もっと早くに知っていたら・・・

「「老いる」とはどういうことか」  河合隼雄著 講談社+α文庫  640円+税
 老人」を、そして「老いる」という状態を十把一絡げに論じてはいけない。まさに人それぞれの「老い」がある。

「「子どもの目」からの発想」
   河合隼雄著 講談社+α文庫  780円+税
「ファンタジー」という内的な世界を体験することでむしろ外的な世界が見えてくる。
知識や経験で曇った目になってしまった大人達こそ、もっともっとファンタジーの世界に触れるべきという言葉に大賛成。

「資本主義崩壊の首謀者達」
 広瀬 隆著 集英社新書 720円+税

 サブプライムに端を発した世界経済の破綻。これは「経済危機」ではな「経済腐敗」であり、もはやアメリカ資本主義は崩壊
したのだ。握りの人間達が世界中の富を貪る。そんなシステムを容認してきた結果、世界の経済は破綻した。
一体誰が何を仕組んできたのか? 知らなかったでは済まされない。

「きけわだつみのこえ」 日本戦没学生の手記 岩波文庫 500円
 学徒出陣、学業半ばにしてペンを剣に持ち替えざるを得なかった若者達の手記。
戦争が如何に人の道を踏みにじってしまうものか、若い人達にはぜひ読んで欲しい一冊です。


「昭和のエートス」
    内田樹著 バジリコ株式会社 1600円+税 
 「昭和的なるもの」の終焉に荷担してきた我々戦後生まれの一人として、共感を覚えるエッセーです。
第二章の改憲についての論や市場原理に教育までも侵されている現実についてなど、目を開かれます。
改憲派のいう「戦争をする権利」とは「どこの国とも戦争をする権利」ということであるはずで、ならばアメリカとも事ある時は
戦争をする覚悟があるのか、という問いかけはまさに我が意を得たりです。結局はアメリカの傘の下での軍備増強、戦争を
する権利であり、それは結局アメリカの手先になることでしかないということ、とは痛快ですね。


「在日一世の記憶」
     小熊英二・姜尚中 編  集英社新書 1600円  
在日の人々の歴史はそのまま我々日本人の歴史であることを痛切に思い至らせられる本です。

「死刑囚最後の日」   ユーゴ作 豊島与志雄訳 岩波文庫 360円(古い本なので値段は変わっているかも)
死刑制度の撤廃を目指して、若き日のユーゴが情熱を燃やして書き上げた作品。
ただしこの本が書かれた時代と現在とは、死刑になる要件がかなり違うのですが。

「大人のいない国」 
鷲田清一・内田樹共著 プレジデント社 ピンポイント選書  1143円+税
 他人のせいにばかりして自らの責任を考えない大人になれない大人達。成熟社会とは子どもでも成り立つ社会のこと?
絶滅危機種「本当の大人」を巡っての対談とエッセイ。


「「尊厳死」に尊厳はあるか」 中島みち著 岩波新書 700円+税
 富山県で起きた、末期患者に対して行われた人工呼吸器外し事件を通して、終末期医療の課題を問いかけた一冊。

「橋本治と内田樹」 橋本 治・内田樹対談集  筑摩書房  1800円+税
 何と言ったらよいか、橋本治に興味がある内田樹と、橋本治に興味がない橋本治の、橋本治を肴にした対談集

 
「ふみさん、たけじさんの93歳対談」 峯山冨美 むのたけじ  朝日新聞出版 762円+税
 戦時の朝日新聞記者としての責任から職を辞し、秋田県横手市で地域紙「たいまつ」を刊行して戦後を生きて
こられたむのさん。小樽の運河を守ろうと立ち上がり、市民活動を通して地域に生活する人にとって
大切なものとは何かを考え続けてこられた峯山さん。共に93歳の若さ溢れる対談集。


「「あるがまま」を受け入れる技術」 河合隼雄 谷川浩司 PHP文庫 552円
 何もしないことが、プラスの力を生む。「物を忘れることで豊かになる」「何もしないことに全力を注ぐ」
など刺激的?なヒントが。


「こころと脳の対話」  河合隼雄 茂木健一郎  潮出版社  1200円 
 「中心を外さない」「判らないことを大事にする」「偶然を大事にする」「言葉に依存しすぎない」
「相手に考えさせる」などなど、マイムの作品作り、若い人達の指導などのうえで貴重な指針が。


「生きるとは自分の物語をつくること」   河合隼雄 小川洋子  1300円
 「偶然をつかむ」「待つこと」「ただ側にいること」。
「生きるとは自分の物語をつくること」、誰の物でもない自分の物語を。

「蝶のゆくえ」     橋本 治著  集英社文庫  571円+税
 初めて橋本治さんの短編小説を読んだ。現代に生きる人達、其れも直ぐ側にいそうな女達を描いた作品集。
好きです、とても。


「できそこないの男たち」    福岡伸一   光文社新書  820円+税
 「生物と無生物のあいだ」の著者が又面白い本を出した。生命の基本仕様は雌だった。
XY遺伝子の謎を通して人間の本質を突いた一冊。刺激的な本ですよ。

「千々にくだけて」   リービ英雄著 講談社 590円+税
アメリカ人として初めての日本文学作家。すでに母国語・米語と、日本語の間で、あの9月11日をどのように
言語化していくのか。それはそのまま著者の心の動きに重なっていく。


ルポ 貧困大国アメリカ」   堤 未果著 岩波新書 700円+税
アメリカンドリーム、世界一の富と権勢を誇ってきたアメリカの内実は、貧困、格差で出口をふさがれ苦しむ
若者達が恐ろしい勢いで増加している。市場主義経済の行き着く先はここまで暗澹とした状況となるのか。
日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した話題の本です。


「若い人に語る戦争と日本人」    保坂正康著  ちくまプリマー新書  7800円+税
表題の通り若者(戦争を知らない世代のその子ども達かな)に向けて、戦争とはから説き出し、
悲惨な戦争というものが、その時ばかりではなく、戦の後も想い傷跡を残していく事を、実に平明に語っている。
若い人も、戦争を知らない若くない人にも読んでいただきたい一冊です。


「橋本治という行き方」    橋本 治著  朝日文庫  600円+税
何も解説は要らないなあ。面白いです。「生き方」というと説教臭くなりそうだがこれはあくまでも一人の男の
「行き方」である。 どこかの国々のように「自分だけが正しい」と言い張っていてはどうにもならなくなる。


「自然をつかむ七話」   木村龍治著 岩波ジュニア新書 740円+税
面白かった!日常の何気ない事柄から自然の奥深い姿を読み取っていく。豆腐から日本の国土の生成を説き、
花火から宇宙の誕生を解き明かす。原子の世界から宇宙まで、150億年の過去から未来へと、自然科学者の
心を動かした「自然の驚異」を語る七つの話。お勧めします。

日本の社会保障」  広井良典著 岩波新書 740円+税
「社会保障」とはそもそも何、どの様な経緯で成り立ってきたか、そして今後どの様に為る事が望ましいかを
日本や諸外国における歴史と現状、そして未来への課題を解く一冊。10年前に出版されたのに、
日本の現状が10年経った今なお少しも改善されていない事に驚きます。


覚悟としての死生学」    難波紘二著 文藝春秋社  700円+税
如何に命を永らえるかではなくて、如何に命にきりを付けるかが大きな問題になっている。
イヤこれからますますこの問題は痛切になっていくことでしょう。死生観の確立、これからまさに必要なことです。


「古代から来た日本人 折口信夫」 中沢新一著 筑摩書房 700円
 友人が貸してくれたのですが面白かった。「死者の書」は途中で挫折していたけれどまた開いてみよう。

「定常型社会 −新しい「豊かさ」の構想−  広井良典著 岩波新書 700円+税
 資源や環境の制約の中で持続可能な福祉社会のあり方を考える一冊。
呼吸・鼓動、生物それぞれのリズムを大事に生きていきたいものです。


「石ころだって役に立つ」    
関川夏央著    集英社文庫   533円+税 
 タイトルの「石ころだって役に立つ」は私の大好きなイタリア映画「道 (ジェルソミーナ)」の中の台詞です。
アンソニー・クインにジュリエッタ・マシーナ、良かったなあ。

「ナゲキバト」  ラリー・バークダル  片岡しのぶ訳  あすなろ書房  1300円
   両親と死に別れ祖父に引き取られた少年。二人で暮らした日々の思い出。
    「生きる」と言うことは何と大変で、そして何と素晴らしいことか。 
    人間への、人生への希望が静かに膨らんできます。

   
「アメリカにいる、きみ」  C.N.アディーチェ  くぼたのぞみ訳  河出書房新社 1800円 
   お互いに他国の事って知らないもの、ましてやアフリカの国のことともなれば尚更だ。
    この本はナイジェリアからアメリカに渡った、30才を過ぎたばかりの女性作家の短編集。
    哀しみ、喜びが胸に迫り一気に読ませます。絶対にお勧めです。

「歩く」 ルイス・サッカー 金原瑞人+西田登訳  講談社 1600円(税別)
    面白い!!  私の大好きな作家日本で出版された3作目。 心がじわっと温かくなりました

▼「生物と無生物のあいだ」  福岡伸一  講談社現代新書  740円 
   「生命とは何か?」を探るミステリー小説のような醍醐味。
    その文章の見事さ、詩的な感性に魅了された。 

■お勧めBOOKs  
     (それぞれ、だいぶ前に買った本なので値段が変わっていたり、絶版になっているかも知れません

 
▼「日没国物語」  原 秀雄著  新宿書房 3090円(上・下刊組で)
   著者のただ一冊著したユートピア小説。第二次世界大戦の後、連合国は敗戦国日本の東北地方四県を分離し、
   文明と進歩、民主主義、人類の生存の仕方などの偉大な実験の為と称して、50年間、日本の他地域を初め世界各国
   から完全に分離し閉鎖してしまう。地球上の真空地帯に閉じこめられた人々はどのような社会を作り上げたか、
   ユニークな発想で今まさに日本が置かれている状況を予期して、四半世紀前に警鐘として書かれた本です。
   まさにユートピア、そんなことあり得ないよと言ってしまえばそれまで、でも読むと無性に憧れる世界がそこにある。
  

  ▼「潜水服は蝶の夢を見る」 ジャン=ドミニック・ボビー  河野万里子訳 講談社 1600円(税別)

 ▼「エヴァが目ざめるとき」 ピーター・ディッキンソン 唐沢則幸訳 徳間書店 1500円(税込み) 
  思わず引き込まれる異色のSF。切なくて、そして心に温かな余韻が残る作品です。



アメリカインディアンの本達


  
「リトル・トリー」 フォレスト・カーター  和田穹男訳  めるくまーる  1854円     

 
 インディアンの血を引く作者が祖父母と過ごした生活を元に綴った自伝的な小説。
  久し振りに読み返し、電車の中で思わず目頭が熱くなり困った。 
  心にじわーっと染みいる話が沢山ちりばめられています。
 
  
「今日は死ぬのにもってこいの日」ナンシー・ウッド 金関寿夫訳 めるくまーる 1751円
  
宇宙の流れの中で、自分の位置を知っている者は、死を少しも恐れない。
   ネイティブ・アメリカンの古老が語る大地に根ざした死生観は静かに心に広がります。

 
「一万年の旅路」 ポーラ・アンダーウッド 星川 淳訳 翔泳社 2500円+税       
    我々の命が原初のころより脈々と受け継がれてきたのだということを改めて心に刻むことだ。
    生きる知恵、人として為すべき事柄、勇気などなど、
         ここに語り継がれてきた言葉には宝がいっぱい詰まっている。

 ▼
「ジャンピング・マウス」
  ヘェメヨースツ・ストーム他 述・著 北山耕平 解題と再話
                                   太田出版(多分絶版/古書で買いました)

  
ネイティブ・アメリカンに残されていた物語です。本の帯には、「本当の自分を知る為に旅に出た、一匹のネズミの冒険」
  とかかれています。暫く前に自分探しという言葉が流行した時期がありましたがそれはさておき、これは自己の成長の物語と
  言って良いかと思います。 



がらり変わって昭和史
  私は昭和史を学んでこなかった。中・高の日本史の授業は明治維新から後はいつも駆けっこで走り抜け
  てしまい、一番身近な昭和の歴史をきっちり学ぶ機会がないままに大人になった。 
  私の父は戦場で深い傷を負い、仕事に付くこともままならない身体になり、その父と、私と妹を養うために
  苦労し通しだった母。 あの戦争は何故起きたのか、そんなことも知らないままに来た自分が恥ずかしく、
  最近になって漸く昭和史を学び初めた。
  戦争に走ってしまった人間の愚かさと弱さ、それは自分もそうなりうると言う思いも含めて改めて
  しかっりと見つめていかなければいけないことだと思う。
  これから順次私が読んだ本をご紹介します。まずはこの三冊を。

▼「昭和史」「昭和史 戦後編」 半藤一利著    平凡社  1600円、1800円    
▼「日本の一番長い日」   半藤一利著     文春文庫 590円
▼「満州事変から日中戦争へ」 シリーズ日本近代史D  加藤陽子著 岩波新書 780円+税
▼「昭和三十年代主義」
  もう成長しない日本  浅羽通明著  幻冬舎 1600円+税
「昭和時代回想」    関川夏央著    集英社文庫   476円+税  

●今を考える
  昭和史に引き続き、今我々を取り巻く状況を様々な視点から考えてみたいと思って読んだ本を紹介します。
    
▼「いま私たちが考えるべきこと」    橋本 治著  新潮文庫  438円

「日本の行く道」     橋本 治著   集英社新書 740円
▼「戦後政治史」  
石川真澄著  岩波新書  780円
▼「戦後政治の崩壊」  山口二郎著  岩波新書  740円
▼「憲法九条」国民投票  今井 一著  集英社新書  700円
▼「プリンシプルのない日本」  白洲次郎著  新潮文庫  476円 
▼「社会の喪失」   市村弘正・杉田 敦著  中公新書 780円
▼「下流社会」   三浦 展著 光文社新書 780円
▼「反貧困」    湯浅 誠著 岩波新書 740円 
▼「マイホームレス・チャイルド」 三浦 展著  文春文庫 619円
▼「何故日本人は劣化したか」  香山リカ著 講談社現代新書 700円
▼「信じぬ者は救われる」  香山リカ×菊池 誠著 かもがわ出版1400円
▼「M/世界の、憂鬱な先端」  吉岡 忍著 文春文庫  819円  (宮崎 勤事件を中心に)

「優しい経済学」−ゼロ成長を豊かに生きる  高橋伸彰著  ちくま新書   680円
私が読んだ  

本を読みましょう、騙されない大人になる為に。