■なんて言ったって

▼「天井桟敷の人々」       予告編が見られます

 私がマイムの道に入ったのは何と言ってもこの映画がきっかけ。劇中劇で恋する人を見送った時の
 あの右手。あれが私を虜にしたのです。 実はこのシーン、「KAMEN」のある場面で密やかに使っています。
 主演が演出家としても、舞台俳優としても、そしてまた、マイミストとしても有名なジャン・ルイ・バロー。
 私にとっての永遠の憧れ人です。 映画はレンタルやさんで借りて見て下さい。




■今年観た映画から

▼「ひめゆり」    東中野ポレポレ
ご存じ、沖縄戦の時に学徒動員された沖縄師範学校女子部・沖縄県立第一高等 女学校の女学生ら、通称「ひめゆり学徒隊」の
生存者達の証言を基に当時のフィルムや写真、資料を折り込んで構成されたドキュメンタリー映画。

米軍の上陸間近に招集され、ほんの三ヶ月足らずに240名のうち136名の若い命が奪われた。詳しくは書きません。
是非この史実に向き合って欲しいと思い、中一の娘と観に行きました。若い人たちに是非見て貰いたい映画です。



▼「シュガーマン 奇跡に愛された男」 4月24日(水) シネマカリテ(新宿)
“シュガーマン”のこと、この映画がアカデミー賞を取った作品だったことも全く知らずに、ただ時間が空いたのでタイトルに
ちょっぴり惹かれて、期待も何もせずに観に行った。大当たりでした。
一部の音楽関係者には高く評価されながら、出したアルバムは全く売れず、やがて人々の記憶からも忘れられたデトロイトの
一人のロックミュージシャン。ひょんな事からアパルトヘイトに揺れ動く南アフリカで
反体制の音楽家達に支持され爆発的にヒットする。
だがこのミュージシャンについての情報は全くなく、
謎のまま時が過ぎていった。その謎に興味を持った男達が解き明かしていくと
思いがけない展開が待っていた。実在のロックミュージシャンの謎を追ったドキュメンタリー、それも最高にドラマチックな。
見終わった後の心地よさ、何とも言えない温かさ、清々しさ。お薦めもお薦め、是非観て下さい。

http://www.sugarman.jp/

▼「塀の中のジュリアス・シーザー」 1月30日(水) 銀座テアトルシネマ
これはお薦めです。本物の囚人達が演じるシェークスピア。
演じる囚人達の心に虚と実が重なり、彼らの実体験が芝居に思いがけない陰影を作り出す。
それにしても素人とはとても思えない囚人役者達の演技、そして存在感の凄さ。必見です。


▼「アルバート氏の人生」 1月23日(水) 日比谷TOHO CINEMA
男として生きるしかなかったアルバート氏その最後が切ない。

▼「レ・ミゼラブル」 1月13日(日) 日の出
お馴染みのミュージカルの映画化。とにかく歌が素晴らしい。特にあの「夢破れて」。
この映画を見て初めてあの歌が判った。


昨年以前に観た映画
▼「最初の人間」 岩波ホール
カミュの自伝的な遺作の映画化。生まれ育った地でありながら、ついに異邦人でしかあり得なかったアルジェリア。
先日の人質事件の前に見たのだが、、西欧諸国の植民地にされて来たアフリカ諸国の諸問題の根源を見る気がする。

▼「菖蒲」 岩波ホール
中年女性と若者の危うい関係が悲劇を呼ぶ。もうひとつ印象に残らない作品。

▼「高地戦」  シネマライズ新宿
終映後、身体は固まったままで席を立てない。戦争に大義はない、正義はない、正しい理由なんてどこにもない。
何のために?誰のために?答えはどこにもないまま同朋どうしが銃口を向け合い、家族を思いながら無残な戦いの果てに命を落としていく。
北と南に別れて望まぬ戦いにかり出された朝鮮の若者たち。彼らを操る大きな力は、そんな若い命を命とも思わず蹂躙していく。
見終わって気付く、隣の国で50万の命が犠牲になった戦いで、この日本に巨大な富を得たことを。我々は彼らが流した血で豊かな生活を築いてきたことを忘れてはいけない。
いまこの国はとんでも無い方向に舵を切ろうとする者の手に委ねられようとしている。若い人に是非観て欲しい作品です。
http://www.kouchisen.com/

▼「希望の国」  11月28日(水) ヒューマントラストシネマ有楽町
兎に角、作り方が雑な印象で、状況設定へのきめの細かさに欠けている為、途中でとても嘘っぽく感じてしまった。
認知症の妻と共に死を選んだ老いた父親の行動にも共感できず、私には納得のいかない映画のラストだった。

▼「そして友よ、静に死ね」 10月24日(水) 銀座テアトルシネマ
幼い時の出会いが思いがけない別れへと。友情と裏切りに揺れる思いが、淡々と描かれていく。ロマへの人種差別、政界の暗部などの
社会的なテーマもさりげなく折り込まれ、クライマックスへ流れ行くクールでスリリング展開に引き込まれた。久しぶりのフランスルノワールを堪能。
実在のギャングの手記を元に描かれた作品。男臭い映画、役者たちがみな魅力的。これもお薦めです!

http://soshitetomoyo.com/intro.html

▼「イラン式料理本」 9月26日(水) 岩波ホール  
監督自身の家族や知人へのインタビューという形で構成されたドキュメンタリー映画。ラマダン明けの料理作りを通して、各世代の女性や
家族関係を写し取っている。グローバル化が進むこの時代、いずこも同じような核家族化、世代間の価値観の相違、それがもたらす家族の崩壊等が、
笑いを通してあらわになってくる。女性の立場が圧倒的に抑圧されて、封鎖的とも思えるイスラム社会にも、新しい価値観が容赦なく入り込んでくる。
http://www.iranshiki.com/index.php

▼「最強の二人」  9月19日(水)  立川
友人が面白かったというので観に行ったら、本当に面白く良い映画だった。首から下が完全に麻痺した富豪と、その彼の介護をする
ことになった貧しい黒人青年。全く働く気がなっかた青年は、頭脳は明晰だが全く身体が利かない男に対して、一切媚びたりへつらう
ことがない。障害者への変な気遣いなど一際せず、総てをあけすけに言い放ち、行動する。実は前科者の彼だが、富豪は富豪で

そんな彼を一切の偏見も無く迎える。粗野に見えて繊細な青年は富豪の心を動かし、いつしか二人は深い信頼に結ばれる。
泣かせるラストがまた良かった。本当の優しさがここにある。お薦めです!!
http://saikyo-2.gaga.ne.jp/


▼「キリマンジャロの雪」   6月14日(木) 岩波ホール
善良そのものの夫婦。主人公は労働組合の委員長として、不況下での人員削減を受けて取った行動が思わぬ事件を引き起こす。
公平だと思ったことが実はより弱い立場の者を追い詰めることになるとは。戸惑い、悩み、決断した夫婦の行動が美しい。
優しく、温かく、そしてチョッピリほろ苦い人生の一コマ。良い映画でした。

http://www.kilimanjaronoyuki.jp/

▼「ミッドナイト・イン・パリ」  6月8日(金)立川
ウッディー・アレン監督のロマンティックなコメディー。公演翌日で切った身体に心地よいマッサージになった。
シンデレラではないけれど、午前零時になると1920年代にタイムスリップしてしまう。時の旅人となった男の前に現れた面々の
何ともすごくて楽しいこと。この度の中で男は自分自身に目覚めていく。
どのようにこの楽しく魅惑的な旅から抜け出すのかと思ったが、洒落た素敵なエンディングになりました。

http://midnightinparis.jp/

▼「孤島の王」 5月30日(水)  ヒューマントラストシネマ有楽町
1890年代後半から1950年頃にかけて、ノルウェーに実在した「問題児たちの矯正」施設に送り込まれた少年達の、
心の自由、正義を守るための戦いを描いている。矯正施設とは名ばかりで、実態は監獄と何ら変わらぬ絶対服従を強いられ、
過酷な強制労働、、性的虐待が日常のように行われていた。施設を出るためには尊大な院長や冷酷な寮長に気に入られ
なければならず、少年達は自分の心に蓋を死、ただ服従の日々を送っていた。そこに新しく収監された少年は、そのような
院長や寮長達にことごとく反抗し、脱走を試み、決して自らの心を曲げることをしない。その少年の姿に周りの少年達の意識
に変化が起きていく。そのような中で起きた一人の少年の死。

その事実をひた隠し、それぞれの弱みをと引き替えに何事もなかったように繕う大人達に、少年達はついに爆発する。怒濤のように展開する後半の数十分、私は少年達の一人となっていた。

ここに登場する大人達の世界はそのまま今のこの国に重なる。真実を隠し、お互いに都合良くつじつまを合わせ、何事もなかった
かのようにしてしまう。我々は今こそ、この少年達のように目覚めなければいけない。


http://kotounoou.exblog.jp/17908823/

▼「ル・アーブルの靴磨き」  5月9日(水) 渋谷・ユーロスペース
善意・優しさ・温かさに満ちあふれた二時間でした。愛する妻が助かる見込みがない病に犯されているとはつゆ知らず、
ひょんな事から出会った不法入国の黒人少年を助けるために奔走する靴磨きの男。下町の貧しいが心優しい仲間達と
手を取り合って、少年をイギリスにいる母親の元に送り出す。
えっ、何でと思うような展開も結末もそんなことはどうでもよくなる、幸せな気持ちになれた大人の寓話でした。
    公式サイト http://www.lehavre-film.com/

▼「アーティスト」 4月15日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ日の出
去年の暮れにこの作品のことを知ってから待ちに待ち、漸く今日観てきた。
評価は分かれているようだけれど、私にはそんなことはどうでもよい。良かった!
何というお洒落な映画、何というセンス、何という映画らしい映画だろうか。
サイレントそしてモノクロの画面は見る者の想像力を刺激してくれる。
そして音楽や効果音の使い方の巧みさ、言葉がない分、役者の仕草、表情にぐっと引き込まれてしまうのだ。

ありきたりのメロドラマと言ってしまえばそれまでだが、単純なストーリーだからこそ無条件に映画の楽しさを味わえた。
階段を下りてくるサイレント映画のスターと、階段を弾むように上がってくるトーキーのスター女優がすれ違うシーンの見事さ。
落日のサイレントスターと、日の出の勢いのスター女優の置かれた状況を見事に象徴したシーンだった。
サイレントの画面にいきなり入る音がサイレントスターの心の不安を表し、また随所に入る音は単なる状況の説明ではなく、
主人公の巧みな心理描写になっている。
愛する人に良かれと思う女優の思いやりが、意に反して男のプライドをずたずたにしてしまう展開が何とも切ない。
そしてもう男の心は戻ることがないだろうと思われた最後の、何ともハッピーな展開がまた泣かせてくれるのでした。
そして脇役達、中でも犬が可愛く上手く使われていました。
パントマイミストとしてはとてもとても幸せな気持ちになれた映画です。

それにしても日曜の午後だと言うのに、観客は200くらいの客席でたった20人足らず。
土地柄の所為なのか、それとも口コミなどの評価が今一つだからなのか、とにかく寂しい客席がとても残念です。
アカデミー賞を取った作品だから良いなんて言いません。私は最近のアカデミー賞には余り納得していないので。
でもこの映画はもっともっと沢山の人に観て貰いたい作品です。
ちなみに我が家は小学6年の娘と我々夫婦の三人で観てきましたが、娘も楽しんだようです。「アーティスト」公式サイト


▼「ニーチェの馬」 2月22日(水) 渋谷/イメージフォーラム(宮益坂上)
ハンガリーのタル・ベーラ監督のおそらく最後の作品になるだろうといわれている。
私はこの監督のことを今まで知らなかったのだが、最初から最後までスクリーンに釘付けになり、終映後は余韻を損ないたくなく、
座席に暫し座ったままだった。モノクロの画面に淡々と繰り返される父と娘の六日間。
荒野に建つ一軒家、石積みの井戸、納屋には疲れ果てた馬が一頭。この馬が作品を生み出す切っ掛けになったニーチェの馬。

何故だか解らないが外は凄まじい砂嵐が吹き荒れる。食べ物は1日ジャガイモ一個。
この状況下父と娘は息を潜めるように単調な日を繰り返す。その様子を淡々と、無愛想なと言って良い程の極力動きを押さえた
カメラワークでおっていく。皿の上の湯気が立つジャガイモが、焦げた焼きジャガイモに、そして最後は生のままで。
一日一日と状況は終末を暗示させるように変わっていく。
殆ど感情を表に表さない二人の演技が私に強烈に迫ってくる。何という人間の存在の重さ。
一瞬一瞬が美しく、小さな心の変化を見逃したくなく、また二人の心に寄り添いたくて目を離すことが出来ない。
繰り返される日常の流れを、日を追う毎にシンプルに捉えていくのだが、もう既に彼らと共にいる私には、画面に現れない
彼らの行動が手に取るように解ってしまう。
見事に構築された構成。圧倒的な映画でした。

もっともっと書きたいのだけれど、これ以上書いてしまうとこれから見る人には妨げになるだろうからここまでに。
終映後「期待していたのに期待はずれ、がっかりした、何だか解らない」という声も客席から聞こえた。
何もストーリーらしいストーリーはなく事件らしい事件も起きない、観客への媚びは一切無し、しかもテンポはこれでもかと言う程
押さえられている。おそらく賛否が分かれる作品でしょうね。
映画は一切の希望の喪失を暗示して終わるのに、表現者としての私には勇気と希望を与えてくれた作品です。是非見て下さい。 公式サイト

▼「エンディングノート」 11月15日(火)  新宿ピカデリー    砂田麻美監督作品
実際には様々な葛藤があったのだろう、でも明るく前向きに?死に向き合おうとする父親の姿が心に迫る。
娘である監督が死の間際まで永年撮りた映像を編集したドキュメンタリー映画。
後悔することは念頭になく、父を失った心の整理を付けるために編集作業をしたというが、師でもある是枝正和監督のプロデュースで
一般公開された。上手に死を迎えたいという父の姿は、ご本人の生来の明るさがもたらしたのだろう、最後までジョークが絶えず、
深刻なテーマのはずなのに笑いながら観、そして最後はやはり涙がこみ上げたが、とても爽やかな気持ちで映画館を出た。
こんなに見事に最後を迎えられるだろうか?自分はバタバタしそうだなあ。同世代の人にお勧めします。
それからそんな親を持つ子どもたちにも。

死の二日前?だったか病床から年老いた母親へ別れの電話をする場面には心が締め付けられた。
http://www.ending-note.com/

▼「インサイド・ジョブ」  5月25日(水)  新宿ピカデリー
サブプライム、リーマンショック、株の大暴落と世界中を金融危機で揺るがした張本人達へのインタビュー。
他人を困窮のどん底に陥れようと知ったことではない、自分たちの利益を追求することしか頭にない政治家、投資会社、銀行、マスコミ、
御用学者達。いかにして事態は引き起こされ、情報は隠蔽され、首謀者達は責任逃れをしてきたか。
金で買われた御用学者達が巧妙に持ち上げ、政府に潜り込んだ企業人が操る。
これと同じ構図が今の日本の原発を推進してきた構造に見事に重なり合っている。
 第83回アカデミー賞ドキュメンタリー長編部門受賞作。      公式サイト

▼「4月の涙」
  5月11日(水) シネマート新宿
1918年(大正7年)に起きたフィンランド内戦。ロシアから独立直後、同国民が合い戦う中で出会った敵同士の男と女。
信念を貫く女と、一人正義を貫き通した男。互いに心惹かれ愛し合いながらも、自分の気持ちの正直であろうとしたがための結末は。
主演した俳優達がとても良い。
余り触れる機会のないフィンランド映画ですが、映像の美しさ、控えめだが効果的な音楽と、見応えがあった。
ラストで救われた。   公式サイト

▼「悲しみのミルク」  4月13日(水) 渋谷ユーロスペース
南米ペール−映画。1980〜90年代にかけて民衆に非道な好意を続けていた極左組織の犠牲になった母親。
娘はその母親の母乳で育つが、母乳は母親の悲しみや苦しみを受け継ぐと言い伝えられ、成長した今も心に住む
恐怖のために一人で外に出歩くことも出来ずにいる。その母が悲しみの歌を口ずさみながら息を引き取る。
母の葬儀を出すために娘は意を決して、裕福なピアニストの家に働きにでる。
母親から受け継いだ歌を口ずさむ彼女の歌う歌に引きつけられたピアニストは、一回歌う毎に真珠をひとつあげると約束をする。
葬儀費用にするために歌う彼女の心を無残に弄ぶピアニスト。そのピアニストに雇われている庭師に見守られ、やがて娘は心の
闇から歩み出していく。
美しい映像、心に残る歌。不思議な後味が残る映画だった。
ベルリン映画祭金熊賞受賞作品     公式サイト


▼「GONZO」 3月23日(水)  シネマート新宿
約二週間ぶりの都心。朝の打ち合わせと夜のレッスンの間にぽっかり空いてしまった時間をつぶすのはやはり映画。
兎に角開いている映画館を探して新宿3丁目へ。シネマート新宿で丁度時間的にぴったりだったのがこの映画。
映画の情報は何もなく、これなら見てもいいかぐらいの気持ちで入ったのだが、これは強烈な作品だった。
反体制、反権力の姿勢を身体を張って貫き通した,アメリカのジャーナリストの死までを、本人や家族、友人などへの
インタビューにドキュメンタリーフィルムを交えた構成されている。アメリカを愛し、米国の行き方にジャーナリズムを通じて抵抗する。
麻薬を常用し、酒におぼれはちゃめちゃな生活でありながら,その舌鋒は的を射て鋭い。
自ら信じる正義のためならば敢えて作り話まででっち上げて社会を揺るがす。
http://gonzo-eiga.com/profile2.html


▼「しあわせの雨傘」  1月26日(水)
何と言ってもカトリーヌ・ドヌーブに魅せられた。貫禄が付いたドヌーブの何と可愛いことか。
題名には?だが楽しみました。

▼「ヤコブへの手紙」  1月19日 シネマ銀座
これは良かった。是非見て下さい。
何かの罪で服役していた女性と、その引受人となった盲目の老神父。一時間15分ほどの短い映画だが、殆どその二人だけ。
女性のかたくなに閉ざされた心が、ある切っ掛けで少しずつ溶解していく。盲目の神父宛に届く手紙を読むのが彼女に与えられた
唯一の仕事。その手紙の一つが、彼女の重い過去を救ってくれる。淡々とした画面に引き込まれます。


▼「シチリア、シチリア」   
1月12日(水) 角川シネマ
 監督は「ニューシネマパラダイス」を撮った人、本当に映画が大好きなンだなあと改めて思わせてくれた映画でした。
シチリアを知っている人にはとても面白い映画だったろうなあと思う。残念ながら私は行ったことがないので、ちょっと残念。
数十年の時間の流れをまとめ、又人物も多いのでちょっと作りが粗っぽい印象。少し期待はずれだが、でもそれなりに面白かった。




昨年以前に見た作品から私の大切な映画2編ご紹介


▼「海の沈黙」   3月16日(火) 岩波ホール  公式サイト

 1941年、ドイツの占領下のフランスにあって、人間の尊厳と自由を賭けた抵抗文学の映画化。
老人とその姪が暮らす家に、ある日からドイツ軍の将校が間借りをすることになる。占領下にあって敵の将校と同じ屋根で暮らす
ことは耐え難いことであるが、当然断ることは許されない。やってきたドイツの将校を二人は「徹底した沈黙」という行動で迎え、
数ヶ月が過ぎる。フランスに大きな憧れを持ちつつ、ナチの掲げる理念を純粋に信奉する将校は、やがてドイツとフランスが手を携える
時が来ることを、そのすばらしさを信じて疑わず、姪への思いを重ねながら二人に語り続ける。
それを聞く二人は決して彼に同意も反論もせずただ沈黙を守り続ける。
だが音楽家である将校の純粋さ、そして優しく繊細な心に老人の心は徐々に惹かれていく。将校は若い姪に好意を抱き、また姪は決して
表には出さないが将校に心が揺れ動いていく。
三人の、それも殆ど会話がない重苦しい沈黙の中で展開されるのだが、それぞれの瞬きひとつが実に雄弁に心の襞を見せてくれる。
だがやがてあこがれのパリで自分の理想とは大きくかけ離れた現実を知り、無残なまでに心を打ち砕かれた将校は志願して前線に赴く。
二度と戻ることの無いだろう地獄に。別れの前夜、二人に苦しい胸の内をさらけ出し「さようなら」と告げる将校に、姪は初めて口を開き
「さようなら」と応える。その姪の肩には、お互いに求め合い今にも触れ合いそうでいながら触れ合えない二つの手が描かれたショール
が掛かっていた。初めて将校に向けて哀しみに満ちた姪の顔の美しさ。
白黒の画面の美しさ、沈黙の持つ雄弁さ、時代の運命に翻弄される心、もっと早くに観たかった映画でした。
岩波ホールでは19日まで。



「白い馬」「赤い風船」    映画公式サイト

  観てきました。何回観ても観る度に新鮮な感動が!こういうのを不朽の名作というのですね!
 ほとんど台詞が無く、まさに映像の詩です。どちらの作品からも「愛することは無条件に相手を信じることだ」、
 そんなメッセージを受け取ります。また一方で少年の心に象徴される自由な精神が、暴力的な所有欲によって
 侵略され、現実の社会の中で逃げ場を失っていく姿に、時代を超えた悲劇の歴史をも読み取れる。
 第二次世界大戦の中で青春時代を過ごした作者の、自由への思いが込められているようにも思う。
 映画に登場する様々な動物たちへの眼差し、風船を初めさりげなく画面に現れる物たちの描き方。
 自然や街の美しい映像。そして白馬の少年のお祖父さん、弟、赤い風船の街の人々。
 人間はそのような全てと溶け合って生きているんだなあと。
 優れた作品には受け手の感性に応じた様々なメッセージが込められていると言うことだろう。
 
 追い詰められた白馬とその背に乗った少年は、海に飛び込み、そのまま波の彼方に消えていく。
 そして赤い風船と友達になった少年は、色とりどりの風船によって青い空を高く高くどこまでも登っていく。
 ほんとうにほんとうに美しく、それは涙の出るほど切なくそして心温かなラストシーンです。
 ふとわき出る微笑みに見終わった後、何とも言えない温かな思いが心に拡がってきます。
 新百合ヶ丘・アルテリオ・シネマで上映中ですよ。 28日までです。見逃すと又暫く見ることが出来ないかも。
 
                                                12/23



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またもまたも大当たり!今年は良い映画に出会える年だ!9/24